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この度、一般社団法人日本真空工業会 会長を仰せつかりました小日向でございます。政治不信から日本の国会が空転している間に、海外では政治・経済に大きな「うねり」が巻き起こっています。米国は「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ政権の下、鉄鋼からハイテク製品まで幅広い分野の経済政策で中国と真っ向から対立し、貿易戦争を危惧する声も聞かれるようになりました。ヨーロッパでは「ポピュリズム」が台頭し政治が不安定化しています。また、英国は2019年末にEUを離脱することが確定的になり、経済環境が不透明で先行きが見通せません。そのため、輸出環境の悪化や円高の懸念もあり、当工業会を取り巻く足元の良好な経営状況にもかかわらず先行きに慎重な見方が多いようです。

一方、明るいニュースとしては、隣国韓国で平昌オリンピックを契機として北朝鮮との会話が始まり、長い対立の歴史に終止符を打つべく交渉が続いています。東アジアの平和に欠くことの出来ない朝鮮半島の非核化が実現することを切に願っています。
さて、“有限なエネルギーや天然資源の枯渇”を回避することが人類の喫緊の課題です。増加の一途を辿るエネルギー消費を抑えるため、再生可能エネルギーを上手く取り込みながら「効率的で快適な社会」の実現を目指すのが「スマート社会」の構想です。電気自動車、IoT、クラウド、ビッグデータ、人工知能(AI)、高速データ処理・通信などの技術革新により、災害予知、高度医療サービス、IT(科学的)農業、自動運転などを可能にする時代がいよいよ到来しようとしています。
ところで「スマート社会」実現に欠かせないキーテクノロジーは高性能半導体や高機能電子デバイスなどの「小型・高速・高効率・大容量・低消費電力化」であり、真空技術に期待されるテーマが目白押しです。また、これとは対極的な基礎科学研究の分野でも物質の根源や宇宙誕生の謎を解明する巨大加速器や重力波測定などにも真空技術が欠かせません。折しも今年は、世界中の素粒子物理学者たちが待ち望んでいるメガプロジェク“International Linear Collider(ILC)建設計画”がいよいよ大詰めを迎えています。個人的には、ILCがここ日本で建設されJVIAがその歴史的な出来事に何がしかの貢献が出来ればと願っています。
社会の発展を支えて来た真空技術は、今や、あらゆる産業、先端的研究・分析などを支える重要な基盤技術に成長致しました。1985年に設立された真空工業会は「真空技術で世の中に貢献する」ことを目指し、統計、人材育成、標準化、展示会、広報活動などに尽力して参りました。33年間に及ぶ先輩諸氏の活動が実り、日本真空工業会は本年5月31日に「一般社団法人 日本真空工業会」となりました。これを機に、当工業会が社会の発展にますます貢献し、より広くより深く世間に認知され、以って全会員に隈なく恩恵が行き渡ることを祈念しております。会員の皆様には、今後なお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。